カール・ラーションの家とオルソンさんの家へ

2017年夏の買い付けレポートが前回から1か月近く間が空いてしまいました!

さて、友人の住む北部スウェーデンから南下途中にダーラナのファールンに滞在を選んだのは、カール・ラーションの家に行きたかったから、と前々回の買い付けレポートで書きました。

カール・ラーションは20世紀初頭の画家で、主に自分の家族(子供が7人!)と自宅を透明感ある色調で描き、スウェーデンで愛されている国民的画家です。その自宅である『カール・ラーション・ゴーデン』はファールン近くの街スンドボーンにあります。

緑が美しい、夏の一番いい季節でした。

見学はガイドツアーのみ。日本から英語のツアーを申し込んでいました。

ガイドの女性が着ているのは、妻のカーリンがデザインしたドレスだそうです。

屋内は撮影禁止のため、写真がありません。とにかく細部までカーリンによる素晴らしい手工芸と、カールの絵で飾られ、ガイドツアーでなければ立ち止まって一つ一つをいつまでも見ていたい。カールの書斎には収集した日本の浮世絵が数多く飾られ、ガイドの説明によると、彼の絵に輪郭線があるのは浮世絵の影響なのだとか。日本人の私の心にもしっくりと来るのは、そのためかも知れません。

家の裏手には美しい庭が広がっていました。次の約束が無ければ、いつまでも過ごせそうな美しい場所でした。もしもダーラナ地方に行かれることがあれば、お時間を作って行かれることをお勧めします。



また、カール・ラーションについて調べていたら、日本の「カール&カーリン・ラーション友の会」が作った素晴らしいサイトに出会いました。ラーション夫妻の情報として、かなり読みごたえがありますし、スンドボーンの家と家族を描いたの水彩画集「Ett Hem(我が家)」のうち24枚の公開もあります。ご興味のある方は下記リンク先からどうぞ。
カール&カーリン・ラーション友の会

さて、後ろ髪をひかれる思いでお昼過ぎにスンドボーンを離れ、夜の7時ごろにスウェーデン中部のリンショーピンに到着しました。目的は布作家のオルソン恵子さんのお宅訪問。オルソンさんが吉祥寺で展示販売をやられていた時以来の再会ですから、ほぼ半年ぶりです。

ご自宅でサラダとブイヤベースの夕食をご馳走になりました。



デザートには今が旬のスウェーデンのイチゴです。

おしゃべりが楽しく、気が付くとすっかり夜が更けていました。スウェーデンの6月はいつまでも日が沈まないので気が付かなかった!

宿はオルソンさんの家から歩いて10分もかからないところなので、徒歩で帰宅。夜10時を過ぎているのにこの明るさです。それにホリデーシーズンなので人が全然いなくてなんだか非現実的な気持ちになりました。

この翌日から、いよいよ仕事が始まります。

ミタ


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スウェーデン映画『サーミの血』自分らしく生きるために逃げる

スウェーデン本国だけでなく、世界各国で数々の賞を受けた映画『サーミの血』が日本で公開されます。また、フクヤでは映画の半券表示で、実店舗にて割引のタイアップキャンペーンを行っています。キャンペーンについては最後にご紹介しています。

1930年代、スウェーデン北部のラップランドで暮らす先住民族、サーミ人は差別的な扱いを受けていた。サーミ語を禁じられた寄宿学校に通う少女エレ・マリャは成績も良く進学を望んだが、教師は「あなたたちの脳は文明に適応できない」と告げる。

そんなある日、エレはスウェーデン人のふりをして忍び込んだ夏祭りで都会的な少年ニクラスと出会い恋に落ちる。トナカイを飼いテントで暮らす生活から何とか抜け出したいと思っていたエレは、彼を頼って街に出た――。

2013年にJokkmokk(ヨックモック)というサーミの街の名が付けられたロールストランドの食器についてフクヤ通信に書いた時、サーミの衣装についてこのように書きました。

こんなに美しい衣装ですが、かつてはサーミ人に対する差別や軽視のため、身分を明かすことになる民族衣装を身に付ける人は減少し、作れる人も減ったそうです。それが、最近になり若い世代を中心に見直しがされ始め、徐々に着る人も増えてきたとか。

衣装について調べた時にサーミに対する偏見があったことを初めて知ったのですが、映画で語られた想像以上の差別描写に心が揺さぶられました。

映画は老人のクリスティーナが妹の葬儀に参列するため、家族と故郷のラップランドに渋々戻るところから始まります。自分の出身であるサーミの事を嘘つきで泥棒と罵るクリスティーナ。村に滞在することを嫌い、一人ホテルで過ごすクリスティーナが思い出すのは、妹や他のサーミの子どもたちと「移牧学校」で学んでいた少女時代。その頃のクリスティーナの名前はエレ・マリャ。彼女は故郷を離れたときに名前もスウェーデン風に変えていたのです。

「移牧学校」はスウェーデンがサーミ人をスウェーデン人の子どもと分離させるために作った学校。子どもたちは強制的に家族から離れさせられ、隔離された環境でサーミ語を禁止され、一歩学校の外に出ればスウェーデン人から激しい侮蔑を受ける日々に、ただひたすら耐えていました。エレ・マリャは成績が良く、スウェーデン語を誰よりも習得し、読書を好み、ウプサラから何やら偉い人たちが学校に来るときに、歓迎の言葉を述べる代表に選ばれたことを誇らしく思っていました。

けれども次のシーンで、その”お客様”たちの残酷な目的が示された時、エレ・マリャの屈辱と絶望が、重く観客の胸にも迫ってきます。

エレ・マリャは、それから何度も希望を持たされてはサーミだからと望みを絶たれ、観ているこちらまで胸がキリキリと傷むエピソードが繰り返されます。頭が良く勇気もガッツもあるエレ・マリャは、けれども、ただサーミだというだけで物のように扱われる状況を甘んじて受けるような少女ではありませんでした。彼女はサーミであれば叶えることのできない将来の夢を実現するためにも、サーミを捨てて出ていくことを決意します。それは閉じ込められた檻から逃げ出す野生動物にも似た、自分らしく生きるために不自由な環境から逃げる選択。

何十年ぶりに複雑な感情と共に故郷に戻り、亡くなった妹の思いを聞かされるエレ・マリャ。サーミであることを嫌い避け続けていた彼女は、自分の中のサーミの血とどう対峙するのか。無鉄砲にも思える少女の大胆な行動にハラハラしつつ、自分は差別の加害者になっているのではないかと、エレ・マリャを通して自らに問いかけ考えさせるような物語でした。

9月16日(土)より、新宿武蔵野館、アップリンク渋谷ほか全国順次公開。
その他の地域での上映スケジュールなど詳細は下記公式サイトからご確認ください。
映画「サーミの血」公式サイト

ミタ


◆映画情報
監督・脚本:アマンダ・シェーネル
音楽:クリスチャン・エイドネス・アナスン
出演:レーネ=セシリア・スパルロク、ミーア=エリーカ・スパルロク、マイ=ドリス・リンピ、ユリウス・フレイシャンデル、オッレ・サッリ、ハンナ・アルストロム
後援:スウェーデン大使館、ノルウェー王国大使館
配給・宣伝:アップリンク
(2016年/スウェーデン、ノルウェー、デンマーク/108分/南サーミ語、スウェーデン語/原題:Sameblod/DCP/シネマスコ―プ)
©2016 NORDISK FILM PRODUCTION


◆映画の半券提示で10%OFFのお得なサービス!
フクヤ実店舗にてお買い上げの方、10%割引!
期間:2017年9月16日(土)~10月15日(日)
詳しくは下記リンク先からどうぞ。
映画『サーミの血』タイアップ情報



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HöganäsのかわいいシリーズとVDN555について

今年の夏の買い付けで久しぶりに、Höganäs(Hoganas/ホガナス)のこのシリーズを見つけました。ぽってりとしたレースのような装飾が素朴で可愛らしく、優しさを感じるデザイン。

素材はストーンウェア(炻器/せっき)。ストーンウェアとは陶器と磁器の中間の性質を持つ焼き物で、陶器よりも堅牢で、磁器よりも温かみがあります。

過去には色違い(青と白)が入荷しました。この写真をブログにアップしたのが2009年8月1日ですから、ほぼ8年前のこと。

この時は作者など詳細は分からなかったのですが、再入荷を機会に調べ直しました。そこそこ時間がかかりましたが判明したので、自分用の備忘録も兼ねて書きますね(またしても箸休め回に...)。

デザイナーはAnn Jansson(アン・ヤンソン/1945年- )。このシリーズは彼女の最初の食器シリーズで、青と白の組み合わせはJohanna(ヨハンナ)、茶と白の組み合わせはMatilda(マチルダ)と名付けられました。同じデザインでも色によって名前が違うんですね。つまり、2009年に入荷したのはJohanna、今回買い付けたのがMatildaとなります。

バックスタンプを見ると、ホガナスが1956年から67年まで使用していたロゴとほぼ同じです。 けれども、アン・ヤンソンのプロフィールを見ると学校を卒業したのが1969年。それからホガナスに採用されたとすると、いくら処女作とは言え、1970年代に入ってからの製品でしょう。

ボウルにはスウェーデンの品質保障マーク『VDN 555』が残っていました。

VDN 555とは、品質を表したマークで、1951年から73年まで使われていました。なので、製品は1973年以前のもの。色々合わせると、1970年代初頭の製造と思えます。良く見ると、VDNシールの下部にある、真ん中が塗りつぶされた日の丸のようなロゴは、1967年から76年に使用されたものですので、やっぱり70年代の製品ですね。

ちなみに『VDN(アルファベット)555』は、(アルファベット)が、B=ボーンチャイナ(benporslin)、F=陶器(flintgods)、P=磁器(fältspatporslin 注*)、S=ストーンウェア(stengods)の意味。このシリーズはVDNマークに『S555』とあるのでストーンウェアと分かりますが、それを確認するまでもなく、バックスタンプにバッチリSTONEWAREと書かれていますね。
【注*fältspatporslinは直訳すると長石なのですが、恐らく長石を主成分とする磁器のことでしょう。】

続く555は、最初の5=釉薬に貫入が発生しない、真ん中の5=あらゆる料理に使える(酸を含む酢などに耐性があるという事か?)、最後の5=75度で食洗器使用可、を表しています。

最後の数字がもしも、1=洗っている時にダメージが起こる恐れあり、3=45度で手洗い、の意味(食器で1なんてあるんでしょうかねえ?)。

このMatilda(マチルダ)シリーズは来月アップ予定です。

ミタ

VDNマークについて検索すると、2010年に書いた自分のブログがヒットしました。もちろん以前からマークについては知っていたのですが、ブログに書いていたとは覚えていませんでした。自分の記憶の無さが恐ろしい…。


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ノルウェーから世界に広がったノルディック柄

ラジオを聞いていたら冬季オリンピックまで半年なんて言葉が聞こえました。あとたった6ヶ月でこの猛暑からウィンタースポーツができるほど気温が下がるなんて非現実的と思いましたが指を折って数えると半年後は真冬。どうも本当らしい。

冬が来るなんて信じられない程に暑いここ数日ですが、ソースボートと一緒に写っているのは、まったく季節外れのウールのミトンです。これには理由があります。

このソースボートはノルウェーにかつて存在したStavangerflint(スタヴァンゲルフリント)のSelbu(セルブ)シリーズです。Selbu(セルブ)とはノルウェーの街の名称。そしてセルブについて調べると街の名称がついたニットのパターン『Selburose(セルブローズ)』で有名とありました。

セルブローズとは北欧のミトンやセーターでお馴染みの、この八角形のパターンです。私はてっきり雪の結晶と思っていたのですが、バラの形だったのですね。バラはバラでも北欧の食器にしばしば描かれる野バラなのかな。

私は編み物はしないので詳しくはないのですが、想像するに多くの伝統的なパターンにはその起源が分かっていないケースが多いのではないでしょうか?それに反してこのセルブローズははっきりとした記録が残っています。

それは1857年の冬の事でした。10代半ばの羊飼いの少女Marit Emstad(1841-1929)姉妹が、日曜日のミサに手編みのミトンを身に着けて現れました。2色で作られた星のような形は、今まで全く見たことの無いパターンでした。そのパターンは地元で人気となり、様々なアレンジも生まれ、それぞれに例えば『コーヒー豆ローズ』『猫ひげローズ』などユニークな名前が付けられました。

最初にミトンを作ったMarit Emstadの写真も残っています(既に少女ではない頃ですが)。Marit Emstadは古いニットパターン(イタリア、ドイツなどの1500年代から1700年代の図案集に似た柄がある)や木彫りの装飾からヒントを得たのではないかと言われています。
Av UkjentRiksarkivet, CC BY 4.0, Lenke

現在セルブローズには100以上のバリエーションがあり、『8枚ローズ』『星ローズ』など名付けられているとか。今ではノルウェーを代表するニットのパターンだけでなく、ノルウェーに限らず、ノルディック柄と聞けば皆さんが最初に思いつくのがこの形ではないでしょうか。

しかも話はそれで終わらず、1991年にセルブは街の紋章をこのように3個のセルブローズに制定しました。ちょっとビックリ。
Av Einar H. Skjervold – Selbu.kommune.no/, Offentlig eiendom, Lenke

さて、話をスタヴァンゲルフリントのソースボート「Selbu」に戻しましょう。写真ではちょっと見づらいですが、雪の結晶のようなパターンが描かれているのがお分かりでしょうか?

矢尻のような先端を数えるとセルブローズと同じく8本あります。もしセルブローズについて知らなかったら、雪の結晶かなと思っていたところでした。ノルウェー人なら「Selbu」と見ただけでピンとくるのでしょう。

セルブのソースボートは来週アップ予定です。また、そろそろ来年の冬に備えようという方は下記リンク先からエストニアミトンをご覧になれます。
エストニア製手袋(ミトン)

次の冬季オリンピックは韓国ですから日本からも沢山の方が行かれるのでしょうか。観戦予定の方は今からノルディック柄で防寒具の準備をされてみては?夏のオリンピックではパッとしない北欧諸国ですが、冬季オリンピックでは打って変わって活躍しますしね。

ミタ

今日も昨日に続いて箸休め回でしたね…。


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ストックホルム巻きに挑戦

先日スウェーデン洋菓子店のリッラ・カッテンさんのシナモンロールを食べたら、もっと食べたくなったので自分でもシナモンロールを作りました。憧れのストックホルム巻きです。

シナモンロール本場スウェーデンには様々なシナモンロールの巻き方があります。

一番簡単でよく作られているのが、巻いた生地を縦に切った渦巻型。私の友人が作るのはねじった生地を結んだノット型。他にもねじった生地を渦巻型に巻いたねじり鉢巻き型などなど。でも何といっても憧れてしまうのはカフェで良く見る毛糸玉型。これはフィンランドのヴァンター空港にあるスウェーデンのカフェ「Johan & Nyström」で作られていたもの。

この写真は2014年のもので、その1、2年後に行ったら普通のフィンランドのコルヴァプースティ型に変更されていてガッカリしてしまいました。その後も行くたびに覗いているのですが、相変わらずコルヴァプースティ型。この毛糸玉型が食べたいので復活望む。

それはともかく、毛糸玉型程ではないけれど、同じくボールのような形になるストックホルム巻きを、この動画を参考にして初めて挑戦しました。

理想的にはもっとボール状になって欲しかったので、近々再挑戦してみます。

ところで『ストックホルム巻き』は誰がいつから言い出したのか分かりませんが、どうも日本だけの名称のようです。ナイスネーミングセンス。

オマケですが、同じシェフがねじり鉢巻き型の動画もアップされていました。北欧ライターの森百合子さんがいつも作っているのはこの形じゃないかな?

本当はあれこれお知らせしたい事(北欧映画や、買い付けの続きやら)があるのですが、今日は箸休め回ということで。箸休め回がこのまま箸休め月、箸休め年にならないよう自分でも願っています。

ミタ

シナモンロールを乗せているお皿はスウェーデンのガブリエル社製。下記リンク先からご覧ください。
Gabriel 大皿/飾り皿 (植物柄)


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